フリーエンジニアとして活動していくうえで、本業とは別に、専門外である経理事務作業も行わなければなりません。しかし、畑違いの作業なだけに、戸惑ってしまう方も多いことでしょう。そして、どうせなら節税対策も徹底的に行いたいところです。ここでは、節税に有効な経費計上できる「フリーランス向け福利厚生サービス」について、該当する項目に注目してみました。
そもそも、フリーランス向け福利厚生サービスとは、一体どんなものなのでしょうか?前提として、フリーエンジニアは会社には属しておらず、会社員が当たり前とする企業の後ろ盾や万が一の保証、魅力満載の福利厚生といったものは一切ありません。会社に属していれば、月収や年俸の支払いのため、個人での稼ぎが少なくても病欠で休んでも収入が途絶えることはなく、安定して生活できます。
また、スキルアップしたいときや休日にリフレッシュしたいときなど、働きながらもオンオフともにサポートしてくれるサービスを受けられるのが、福利厚生という制度です。当然ながら、フリーエンジニアは独立した身のため、こうした雇用主が従業員や家族に提供する「福利厚生制度」は受けられません。
しかし、費用は自己負担ではありますが、フリーエンジニアも会社員同様に福利厚生が受けられるサービスもあります。それが、「フリーランス向け福利厚生サービス」です。代表的なものの1つに、フリーランス協会が挙げられますが、お手頃価格の年会費で十分な福利厚生サービスが受けられるため、多くのフリーランサーが加入しています。サービス内容は提供する会社によって異なり、たとえばスキルアップ支援やレジャー施設の割引、法律・税務の相談などがパッケージになっているようです。
IT系フリーランス向けのサポートとして、賠償責任保険のほか、怪我や病気による就業不能補償、報酬トラブル時の弁護士費用の負担などのリスクをカバーしてくれるものもあります。全て自己責任において事を進めなければならないフリーエンジニアにとって、こうした賠償責任保険や所得補償のサービスは、抱えがちな悩みを解消してくれるうえ、安心して働くための心強い支えとなってくれるでしょう。
費用を払ってでも、その対価に見合った恩恵を受けるために加入する人も多い、フリーランス向け福利厚生サービス。前述したように、フリーエンジニアは会社員ではないため、経理事務をする際にこの福利厚生サービスを「福利厚生費」としては原則、経費計上できません。しかし、仕事に関連していることが証明できれば、経費として計上できる項目もいくつかあります。
たとえば、フリーランス協会の会費や、ベネフィットプランといった一部のサービス利用料は、「諸会費」として計上できます。また、クライアントや仕事上の相手がいる場合の打ち合わせも、カフェなどの利用に「会議費」として計上可能。もし、仕事上の相手と食事をした場合は、「交際接待費」の勘定科目で記載します。
そして、仕事上で必要不可欠な出張の場合、取材のためであれば「取材費」、買い付けのためであれば「旅費交通費」、他社視察のためであれば「研究費」として経費計上できます。ただし、自身のプライベートな旅行は経費として上げることはできません。
そのほか、健康診断の法的義務がないフリーエンジニアは、人間ドッグや定期的な健康診断を受けても、経費計上が認められていないため、自費で受けることになります。万が一、健康診断の結果で病気が見つかり治療することになれば、健康診断の費用を「医療費控除」に充てることは可能です。
これらは、あくまでフリーエンジニアの仕事上で必要な出費であり、経費として上げるのに妥当なものを前提としています。フリーエンジニアの場合は、なかなか経費にできるものの見極めが難しいところがあるため、判断に迷った場合は専門家に相談してみるのもいいかもしれません。
確定申告とは、所得に応じた所得税額を確定し税金を納めるまでの手続きをいいます。青色申告とは、青色申告決算書という書類で所得を申告することによって、税制上の特例が認められる制度のことを言い、正確にいうと、青色申告と確定申告は別のものになります。一般的に白色申告といわれる方法では、青色申告決算書に該当する書類として収支内訳書という書類で所得額を申告することになります。収支内訳書を利用する場合は、貸借対照表や損益計算書は不要で、記帳方法も簡易簿記で良いことになっています。
青色申告ならではの節税対策として活用したいポイントが、減価償却の特例です。10万円以上のものは資産として扱い、減価償却費として数年にわけて経費処理するという税務上のルールがありますが、青色申告の場合は、30万円未満の資産であれば減価償却分をその年に一括で経費処理することが認められています。年間あたり合計で300万円まで認められるため、利益が出た年の年末近くに節税対策で物品購入をする場合などにも、大変便利な特例です。
青色申告だと30万円未満の減価償却資産を一括経費にできる の詳細を見る
フリーエンジニアになると、業務の一つに経理作業が追加されます。所得や節税対策にも関係するため、経理作業に関する知識はつけておいて損はありません。フリーエンジニアになる準備のために受けたセミナー参加費用、名刺の準備にかかったデザイン費や印刷代などは、開業届を出す前のことでも開業準備金というものに当てられます。フリーエンジニアの仕事場として重宝されているコワーキングスペースの利用料も、経費で処理できます。