フリーエンジニアとして働く以上、避けて通れないのが確定申告です。なかでも、税制上のメリットが大きい青色申告をする人は多いはず。ただし、知識や準備が不足していると、青色申告で失敗してしまうことにもなりかねません。ここでは、青色申告が取り消しになるケースやそのリスク、失敗しないための対処法について紹介していきます。
青色申告は一定の要件を満たすことで、さまざまな税制優遇を受けられる制度です。しかし、要件を満たさない場合や不正が発覚した場合、青色申告の承認が取り消されることも考えられます。主な取消事由として挙げられるのは、税務調査において帳簿書類の開示を拒否した場合や所得の隠蔽、欠損金額の減額更正、帳簿の不備など。もちろん、申請が期限内にできなかったときや悪質な申請と判断された場合も、申請が取り消される可能性が高いです。
青色申告の承認が取り消されると、欠損金の控除、特別償却・税額控除、少額減価償却資産の損金算入といった税制優遇措置が受けられなくなってしまいます。なかでも、個人事業者の優遇措置が受けられないのは、フリーエンジニアにとって大きな痛手となるでしょう。場合によっては、優遇措置がなくなるだけでなく、ペナルティが課される可能性も。青色申告を行う際は、申請が取り消されることのないよう細心の注意を払いたいですね。
青色申告で失敗しないためには、日頃からの準備と心構えが大切です。まずは日々の帳簿管理を徹底しましょう。複式簿記で帳簿をつけ、すべての取引を漏れなく記載します。会計ソフトやクラウドサービスを活用すれば、簡単に帳簿管理ができるのでおすすめです。また、書類の整理も日頃からきちんとしておきたいところ。源泉徴収票や領収書、請求書など、経費の明細となる書類は失くさないよう大切に保管してください。なお、電子帳簿保存も認められていますため、スキャンデータでも保存しておくとさらに安心です。税金に関する知識やその手続きに不安がある場合は、税理士に相談するのが確実でしょう。専門家のアドバイスを受けることで、万全の体制で青色申告を行えます。税理士への相談が難しい場合は、フリーエンジニアの先輩に話を聞いたり、税務署の無料窓口相談を利用したりするのも良いでしょう。
フリーエンジニアにとって、青色申告はメリットの大きい制度です。一方、承認が取り消されてしまえば大きな損失となります。日頃から正しい帳簿管理を行い、必要に応じて専門家に相談することで青空申告を正しく行えるはずです。節税効果を最大限に活かすためにも、提出前にきちんと確認を行いましょう。
確定申告とは、所得に応じた所得税額を確定し税金を納めるまでの手続きをいいます。青色申告とは、青色申告決算書という書類で所得を申告することによって、税制上の特例が認められる制度のことを言い、正確にいうと、青色申告と確定申告は別のものになります。一般的に白色申告といわれる方法では、青色申告決算書に該当する書類として収支内訳書という書類で所得額を申告することになります。収支内訳書を利用する場合は、貸借対照表や損益計算書は不要で、記帳方法も簡易簿記で良いことになっています。
青色申告ならではの節税対策として活用したいポイントが、減価償却の特例です。10万円以上のものは資産として扱い、減価償却費として数年にわけて経費処理するという税務上のルールがありますが、青色申告の場合は、30万円未満の資産であれば減価償却分をその年に一括で経費処理することが認められています。年間あたり合計で300万円まで認められるため、利益が出た年の年末近くに節税対策で物品購入をする場合などにも、大変便利な特例です。
青色申告だと30万円未満の減価償却資産を一括経費にできる の詳細を見る
フリーエンジニアになると、業務の一つに経理作業が追加されます。所得や節税対策にも関係するため、経理作業に関する知識はつけておいて損はありません。フリーエンジニアになる準備のために受けたセミナー参加費用、名刺の準備にかかったデザイン費や印刷代などは、開業届を出す前のことでも開業準備金というものに当てられます。フリーエンジニアの仕事場として重宝されているコワーキングスペースの利用料も、経費で処理できます。